2018年5月22日

利益相反③

こんにちは。

またしても利益相反の話をしたいと思います。今日は

③ 成年後見人と本人(被後見人)の利益相反取引

についてです。

遠い昔、司法書士試験の受験勉強していた頃、「成年後見人と本人の利益相反取引」と聞いて、随分、レアな利益相反取引だな、と思っていましたが、実際は、割と多くある利益相反取引ですね。

③のパターンの利益相反が問題となるのは、親族が成年後見人になっている場合が殆どでしょう。

お母さんの成年後見人に息子が選任されている、というパターンです。

例えば、お父さんが死亡して、お母さんと息子が相続人の場合、お母さんは被後見人で、息子がお母さんの成年後見人に就任していると、当然ながら遺産分割は利益相反取引となります。また、私が以前、経験したケースでは、やはり、子供が親の成年後見人に就任していて、親と子供の共有の土地がありまして、成年後見人を監督する家庭裁判所から「共有の土地を共有物分割した方が望ましいですね。」と助言があり、成年後見人である子供と成年被後見人である親が、土地の共有物分割をする、といったことがありました。

例えが長くなりましたが、この場合の利益相反取引は、②未成年者と親権者の利益相反取引の時と同様で、特別代理人を選任することでクリアできます。もちろん、特別代理人の選任の申立の際には、利益相反取引の内容も精査されますから、被後見人が損をするような内容の取引は特別代理人であっても不可能です。

 

 

 

 

 

2018年5月16日

利益相反②のつづき

またしても少し間が空いてしまいました。

前回、利益相反②を読み返していて、もう少し説明した方が良かったかな、と思ったことがいくつかありましたので追記します。

前回は未成年者と親権者の利益相反取引は、未成年者の代わりに法律行為をする特別代理人を選任しなければいけませんよ、というお話をしました。

この未成年者の特別代理人ですが、

未成年者一人につき一人の特別代理人です。つまり、未成年者Aと未成年者Bの特別代理人にAとBの叔父のCが就くということはできません。

未成年者Aの特別代理人は叔父のC、未成年者Bの特別代理人は叔母のDというように、一人一人に特別代理人は選任されます。

ですから、遺産分割協議の際、相続人に未成年の子供が複数いる場合、特別代理人の候補者を立てるのが難しい場合もあります。そもそも特別代理人自体、誰でもできるものではなく、前回お話ししたとおり、未成年者と利害関係の無い人でなければできません。もともと親族自体がすくなかったり、付き合いがなかったりすると、大変です。

そういう場合も含めてご相談いただけたら、と思います。

 

 

 


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