2017年7月27日

公正証書遺言のお話

遺言シリーズで今日は公正証書遺言についてお話ししたいと思います。

遺言作成を考えている方には、是非、公正証書遺言書をオススメしたいです。

公正証書遺言は、公証役場で、証人2人立ち合いのもと、公証人に遺言書を作成してもらいます。

公正証書遺言のメリットは、数多くありますが、主な点としてつぎのようなことが上げられます。

・公証人が遺言書を作成するので、形式的な不備から遺言自体が無効になる恐れが、自筆証書遺言に比べて、格段に低い。

・証人2人立ち合いのもと、遺言書が作成されるので、遺言書の真正が担保されやすい。偽物の遺言であったり、遺言者の意思と異なる遺言書が作成される可能性はかなり低い。

・公正証書遺言書は、原本が公証役場に保管されるため、万が一、遺言書を紛失してしまったり、誰かに隠されたり破棄されたとしても、再度、謄本を交付してもらえる。

・自筆証書遺言と異なり、家庭裁判所の検認が不要。

とはいえ、当然、公正証書遺言書にもデメリットはあります。デメリットとしては、次の点を上げたいです。

・費用がかかる。

・遺言の内容が、親族以外の第三者(公証人や証人)に知られてしまう。

しかし、公正証書遺言書は、自筆証書遺言書に比べて、確実にデメリットが少なく、実効性のある遺言書であることは間違いないと思います。

後々に争いになったり、相続手続きの煩雑さを考えると、私は、公正証書遺言作成にかかる費用は、そう高額であるとは思いません。

それに、公証人は守秘義務があり、遺言者の遺言内容を外部に漏らすようなことは考えられません。

今日は、公正証書遺言書の概要についてザックリとお話ししてみましたが、次回は、公正証書遺言を作成する際に立ち会う証人についてお話ししてみたいと思います。

 

 

 

 

2017年7月21日

遺言の検認

前回の続きで遺言の検認についてお話ししたいと思います。

自筆証書遺言の場合、保管者は遺言者死亡後、速やかに家庭裁判所に対して遺言の検認の申立をしなければなりません。自筆証書遺言書は、家庭裁判所で検認をしなければ、遺言とおりの相続登記をしたり、預金の解約手続きはできません。

検認の申立をするのは、保管者、と民法上はなっていますので、これは相続人には限られず、例えば、自筆証書遺言を預かっていた遺言者の友人などの場合もあります。

遺言の検認の流れをざっくりと説明しますと

まずは、遺言書の保管者が遺言の検認を家庭裁判所に申立します。その際、遺言者の相続人を特定するための戸籍謄本を添付する必要があります。遺言者の出生から死亡までの戸籍謄本です。

遺言の検認の請求が家庭裁判所にされると、家庭裁判所は申立人(請求者)と日程を調整して、遺言書の検認をする日を決めます。検認の日が決まったら、裁判所は、遺言者の相続人全員に「遺言の検認をしますよ。都合のいい人は立ち会ってくださいね」という内容の通知を出します。

いよいよ遺言の検認の日、相続人が集まったところで、遺言書を開封して内容を確認します。(遺言書は検認の日まで開封しないでくださいね。)

さて、ここで、遺言書の検認について、勘違いしがちなことをいくつか挙げていきます。

☆ 遺言の検認は、遺言に対しての異議を述べる場ではありません。

☆ 遺言の検認の日に立ち会わなくてもペナルティはありません。

☆ 遺言の検認がされたからと言って、自筆証書遺言が有効だとお墨付きがつくわけではありません。

つまり、遺言の検認とは、遺言に記載された内容を、相続人が集まって確認することで、それ以上でもそれ以下でもないのです。

じゃぁ、何のために遺言書の検認をするのか、相続人全員に遺言書の存在を知ってもらうためです。

遺言書の検認という手続きが無かった場合、もし、その自筆証書遺言が、偽物でも裁判所の関与なく関係者だけで相続の手続きはできてしまいます。

けれど、遺言の検認をすることによって、他の相続人も遺言の存在や遺言の記載内容を知ることができます。「あれ?この遺言、お母さんの筆跡じゃないな。」「あれ?お母さんがこんな内容の遺言を残すとは考えられないな。」そう思ったら、遺言の検認が終わった後に、遺言書の無効の訴えができますし、内容に不服であれば遺留分減殺請求ができます。つまり、遺言書の検認は、そうしたきっかけを相続人全員に与えることができるのです。

例によって長くなってしまいました。

また、次回、遺言のお話の続きをします。


 

2017年7月11日

遺言のイロハ

しばらく遺言についてお話ししたいと思います。

遺言とは、言わずもがな「死後の権利関係を守るための最後の意思」です。

つまり、法律的な意味での遺言のお話です。

法律的な意味での一般的な遺言は①自筆証書遺言②公正証書遺言③秘密証書遺言3種類あるのですが、①か②を作成するパターンが多いですから、①と②についてお話しします。

①自筆証書遺言⇒言葉どおり自筆で書いた遺言書。便箋などに書く方が多いです。自筆証書遺言は気軽に作成できますし、誰にも知られることなくひっそりと作成できるので、自筆証書遺言書を遺される方は多いです。

自筆証書遺言を作成する際の注意点は次のとおりです。

・全部、自筆で書くこと。パソコンやワープロはダメ。自筆でないと無効になります!!(これについては、法律改正があるかもしれません。近い将来、自筆証書遺言の財産目録部分についてはパソコンでも可とする法律改正の話が出ています)

作成日を書くこと。遺言を書いた日を例えば平成29年7月11日と記載する必要があります。この日付が無いと無効です!!

氏名と押印を忘れずに。当たり前と言えば当たり前ですね。氏名が無ければ誰の遺言か分かりません。

財産と人は特定できるようにする。例えば「江東区亀戸○丁目○番○の土地は長男Aに相続させる。」といった形です。これが曖昧で、「江東区にある不動産は長男Aと次男Bにそれぞれ相続させる。」と言う遺言ですと、江東区の亀戸と大島に複数不動産を持っていた場合、長男Aと次男Bにどのような割合で相続させるのか、はたまた亀戸の不動産がAに相続させるのか、内容が曖昧で、相続人間で揉める原因となりかねません。

上記のことに気をつけて、自筆証書遺言を作成していただけたらな、と思います。

手軽に利用できる自筆証書遺言ですが、その手軽さゆえにデメリットもあります。

デメリットは次のとおりです。

・せっかく遺言を作成したのに、誰も見つけてくれなかった。せっかく遺言を書いて、タンスにしまっておいたのに、遺言の存在に相続人が気がついたのは、遺産分割後で、相続手続きは既に完了していた。

せっかく遺言を作成したのに無効だった。上記の注意点を守っていただければ、まず無効になることはありません。

せっかく遺言を作成したのに相続人の一人が破棄してしまった。遺言で不利になる相続人が遺言書を捨ててしまったり、隠してしまう・・・そういう可能性があります。

・家庭裁判所に遺言書の検認の申立をしなければならない。これが、自筆証書遺言の一番面倒なところです。この家庭裁判所の遺言書の検認については次回、お話ししたいと思います。

自筆証書遺言についてザックリ書きました。

今さらな内容も多いですが、どうぞご参考に。

それから、自筆証書遺言を見つけた場合、「開封してはいけません」何故、開封してはいけないのかは、次回の遺言書の検認の記事に書きたいと思います。


 

 

2017年7月5日

2017年夏季休暇のお知らせ

当事務所は、下記の期間、夏季休暇をいただく予定です。皆様にはご迷惑をおかけいたしますが、何卒、ご理解のほど宜しくお願い致します。

夏期休暇 平成29年8月14日から8月17日まで

 


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