7月11日

遺言のイロハ

しばらく遺言についてお話ししたいと思います。

遺言とは、言わずもがな「死後の権利関係を守るための最後の意思」です。

つまり、法律的な意味での遺言のお話です。

法律的な意味での一般的な遺言は①自筆証書遺言②公正証書遺言③秘密証書遺言3種類あるのですが、①か②を作成するパターンが多いですから、①と②についてお話しします。

①自筆証書遺言⇒言葉どおり自筆で書いた遺言書。便箋などに書く方が多いです。自筆証書遺言は気軽に作成できますし、誰にも知られることなくひっそりと作成できるので、自筆証書遺言書を遺される方は多いです。

自筆証書遺言を作成する際の注意点は次のとおりです。

・全部、自筆で書くこと。パソコンやワープロはダメ。自筆でないと無効になります!!(これについては、法律改正があるかもしれません。近い将来、自筆証書遺言の財産目録部分についてはパソコンでも可とする法律改正の話が出ています)

作成日を書くこと。遺言を書いた日を例えば平成29年7月11日と記載する必要があります。この日付が無いと無効です!!

氏名と押印を忘れずに。当たり前と言えば当たり前ですね。氏名が無ければ誰の遺言か分かりません。

財産と人は特定できるようにする。例えば「江東区亀戸○丁目○番○の土地は長男Aに相続させる。」といった形です。これが曖昧で、「江東区にある不動産は長男Aと次男Bにそれぞれ相続させる。」と言う遺言ですと、江東区の亀戸と大島に複数不動産を持っていた場合、長男Aと次男Bにどのような割合で相続させるのか、はたまた亀戸の不動産がAに相続させるのか、内容が曖昧で、相続人間で揉める原因となりかねません。

上記のことに気をつけて、自筆証書遺言を作成していただけたらな、と思います。

手軽に利用できる自筆証書遺言ですが、その手軽さゆえにデメリットもあります。

デメリットは次のとおりです。

・せっかく遺言を作成したのに、誰も見つけてくれなかった。せっかく遺言を書いて、タンスにしまっておいたのに、遺言の存在に相続人が気がついたのは、遺産分割後で、相続手続きは既に完了していた。

せっかく遺言を作成したのに無効だった。上記の注意点を守っていただければ、まず無効になることはありません。

せっかく遺言を作成したのに相続人の一人が破棄してしまった。遺言で不利になる相続人が遺言書を捨ててしまったり、隠してしまう・・・そういう可能性があります。

・家庭裁判所に遺言書の検認の申立をしなければならない。これが、自筆証書遺言の一番面倒なところです。この家庭裁判所の遺言書の検認については次回、お話ししたいと思います。

自筆証書遺言についてザックリ書きました。

今さらな内容も多いですが、どうぞご参考に。

それから、自筆証書遺言を見つけた場合、「開封してはいけません」何故、開封してはいけないのかは、次回の遺言書の検認の記事に書きたいと思います。


 

 


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