2017年5月31日

法定相続証明制度が始まりました。

5月29日より法務省の法定相続証明制度が始まりました。

相続の手続きをした経験がある方はご存じのことと思いますが、相続の手続きは、まず、戸籍集めから始まります。

被相続人の生まれてから死亡するまでの全ての戸籍を収集して、その戸籍で、相続登記をしたり、銀行の預金口座を解約したり、証券会社などの手続きをします。

戸籍、といっても被相続人の生まれてから死亡するまでの戸籍ですから、結構な分厚い束になることも多く、これらの戸籍を集めるだけで数万円の費用を要することが多いです。

これらの戸籍の束を持って金融機関を回るのですが、戸籍を複数セットで持っていなければ、同じ戸籍の束を使いまわすようになるので、一つの金融機関の手続きが終わるまで、今までは他の手続きができませんでした。

今回の法定相続証明制度は、一度、その戸籍の束で、法務局に申出をすれば、法務局が、戸籍の束を審査して法定相続関係を証明する情報を発行してくれる制度です。

今はまだ、制度が始まったばかりで、全ての金融機関で利用できるかどうかは分かりませんが、この制度が広まれば、法務局の発行した法定相続証明情報1通が戸籍の束の代わりとなり、相続の手続きが迅速に進めることができますし、経済的なメリットもあります。

この法定相続証明情報は、手続き費用無料で、戸籍に不備が無ければ誰でも利用できる制度です。被相続人名義の不動産が無い場合でも、利用できますので、当事務所では、積極的に法定相続証明制度を推進していきたいと思っています。

ご興味のある方は是非、ご相談ください。

 

 

2017年5月23日

相続放棄ができる期間について

相続放棄ができる期間は、民法上「自己のために相続の開始を知った時から3か月」となっています。

「自己のために相続の開始を知った時から3か月」ですから、人によって相続放棄ができる期間は異なります。この3か月間を熟慮期間と言います。相続をするのか相続放棄をするのか、よく考えて熟慮してくださいね、というものです。

① 被相続人が死亡した日⇒同居の配偶者や子供は、一般的にこの日になります。配偶者相続人や第1順位相続人(子供)は、被相続人の死亡により自分が相続人であることが分かります。例えば、被相続人が5月1日に死亡した場合、相続放棄は8月1日までに家庭裁判所に申述する必要があります。

② 被相続人が死亡したことを知った日⇒被相続人と生前付き合いが無く、被相続人の死亡を後から知った場合や相続人が海外など容易に連絡が取れない場所にいる場合などです。例えば、5月1日に被相続人が死亡して、5月15日に被相続人の死亡を知った場合は、相続放棄は8月15日までにする必要があります。

さて、ここまでは一般的なケースですが、実務上、比較的に多いのが次のケースです。

③ 特別な事情がある場合・・・なんじゃこりゃ?という感じですが、具体的には次の場合です。

⇒被相続人が死亡したことは知っていたし、自分が相続人であることも知っていた。しかし、被相続人は生前、とても貧しい暮らしをしていて遺産が何も無いと信じきっていたから、熟慮期間中は相続放棄も何もしなかった。相続放棄ができる熟慮期間がとっくに過ぎたある日、カード会社から督促が来て、この時初めて被相続人名義の債務(借金)があることを知った。

上記の場合、相続放棄ができる期間は督促状が届いてから3か月になります。

ここで、重要な要素となるのは、相続人は被相続人には遺産が何もないと信じきっていたことです。遺産が何もないと信じきっていた以上、当たり前ですが、被相続人名義の財産を処分するような行為はしていないはずで、逆に言えば、被相続人名義の財産を処分するような行為をしていた場合は、後から多額な債務が発覚しても相続放棄ができません。

この場合の処分とは・被相続人名義の口座を解約する・被相続人名義の不動産に相続登記をする・被相続人名義の建物を取り壊す・他の相続人と遺産分割協議をする

などを指し、法律上の処分行為だけでなく、事実上の処分行為も含まれます。

相続放棄は、とても難しい法律判断を迫られる手続きです。

相続放棄をお考えの場合は、是非、当事務所にご相談ください。

 

 

 

2017年5月16日

相続放棄と遺産分割の違い

何回かに分けて相続放棄についてお話ししたいと思います。

法律用語としての「相続放棄」は、家庭裁判所に申述することによって相続放棄をすることができます。

前提として、「遺産分割」の話をさせてください。

「遺産分割」は、遺産を相続人間で好きなように分割することができます。例えば不動産は長男のAさん、預金は二男のBさん、証券は三男のCさんと言う具合にです。当然、長男のAさんが遺産の全てを相続し、Bさん、Cさんは相続分ゼロという遺産分割もできます。

そこで、疑問が出てきます。Bさん、Cさんの相続分がゼロとなる遺産分割協議ができるなら、わざわざ家庭裁判所に行って、相続放棄を申述する人がいるのは何故でしょうか?

遺産分割をできるのは、プラスの財産だけだからです。

というよりも、マイナスの財産(いわゆる借金)を遺産分割をしたとしても、債権者(銀行などの貸主)には、効力が生じないからです。

例えば、前述のAさんBさんCさんの遺産分割協議で、Aさんが被相続人のプラスの遺産のすべてを相続し、Bさんが借金の全てを相続、Cさんが相続無し、と決めたとします。もしも、Bさんが何らかの都合で資力のない人だったら、貸主は非常に困ります。

ここに遺産分割の落とし穴があると言えるでしょう。

遺産分割協議で何も財産を貰っていなくても、もし、被相続人が債務を遺していたら・・・何も財産を相続していない人も弁済する義務があるのです。

その点、家庭裁判所に申述する相続放棄は、債務も含めすべてが相続分ゼロです。

相続放棄の効力は、相続放棄した人は初めから相続人でなかったことになりますから、被相続人の遺産が債務超過などの場合は、実効性のある手続きです。

ですが、どんな手続きでも落とし穴はあります。

長くなってしまったので、この続きは、また近いうちに書きますね。

 

 

2017年5月9日

相続登記に必要な書類

相続登記に必要な書類は下記のとおりです。

① 被相続人(亡くなった人)の出生から死亡までの除籍謄本・改正原戸籍謄本

② 被相続人の除住民票(本籍地の記載のあるもの)

③ 相続人全員の現在の戸籍謄本

④ 不動産を取得する人の住民票

⑤ 本年度の不動産の評価証明書

必ず必要となってくる書類は以上です。

その他、遺産分割協議をする場合は

⑥相続人全員の印鑑証明書

も必要です。

遺産分割協議書の作成もご依頼される場合は、遺産分割協議書に記載する財産の資料(例えば、預金通帳のコピーや残高証明、証券会社の明細など)もご用意ください。

場合によっては、その他にも必要な書類が発生する可能性もあります。

なるべく、ご自分で書類を集めた方が費用がかかりませんので、参考にしてくださいね。

もちろん、ご自分で集めるのが大変な時は、当事務所でお手伝いすることもできます。

相続のご相談はぜひ、当事務所まで!!

2017年5月2日

春にして君を離れ

5月に入り、初夏の日差しの毎日です。

今日は業務から離れて最近読んだ本のお話。

2か月くらい前に、仲間由紀江さん主演でアガサ・クリスティ原作の『そして、誰もいなくなった』のドラマが放送されいました。

これをきっかけに、たまにはまだ読んでいないアガサ・クリスティの本でも読んでみようかな、と言うことでアマゾンで購入。

解説にはロマンティックサスペンス、とありますが、殺人は一切出てきませんでした。

主人公の女性が、偶然発生した暇な時間に、今までの夫婦関係や親子関係を見つめなおすお話。

ある意味、人間の複雑な深層心理や人間関係の方が、殺人事件よりもよほどサスペンスかもしれません。

40代以上の女性ならば、多少の共感と多少の苛立ちと多少の反省を感じずにはいられないんじゃないかな、と私は思いました。

ちょっと立ち止まって自分を顧みるには、ちょうど良い本だと思います。

 


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