4月19日

特例有限会社の取締役について

今日は特例有限会社の取締役について少しだけお話ししたいと思います。

任期がありません。

わざわざ見出しをつけてまで、言うほどのことではありませんが、特例有限会社の取締役や監査役は、役員の任期がありません。

任期がない、と言いますと、本人が辞任するか株主総会で解任するか、もしくは欠格事由(また、後日、テーマにしたいと思います。)に該当するまで、ずーっと取締役のままですから、役員任期のある株式会社と違って、任期満了のたびに、取締役改選の手続きをして登記をして、という手間はかかりません。(当然、登記費用も浮きます)

しかし、この「定期的に(任期満了のたびに)登記をしなくて良い」ということが、落とし穴になる場合もあります。

例えば、小笠原商事有限会社という会社があるとします。この会社の取締役兼一人株主である私は、従業員のAさんが、一生懸命働いてくれるので、Aさんを取締役として選任し、Aさんは取締役として登記されました。しかし、しばらくしてAさんは家庭の事情で退職しました。本来、ここで、Aさんから取締役の辞任届を貰う必要があったのですが、それを忘れてしまいました。

もし、このような状況で、役員の任期のある株式会社ならば、任期満了の改選のタイミングで、Aさんが会社の取締役として残っていることに気づき、改選の際に、Aさんを選任しなければOKです。Aさんは取締役として再選されなかったのですから、取締役の任期満了をもって退任、ということになります。

しかし、役員の任期のない特例有限会社では、もうとっくに退職して会社にいない人が、そのまま取締役として登記簿に残っている状況が、あります。(かなり多いです!!)

まず、役員の任期がない、ということは、そもそも会社の登記をする機会が少ないので、登記簿を確認する機会も少なく、気づかないという場合も多いでしょう。

この状態が10年、20年と続くと、とっくに退職したAさんの居所も分からなくなり連絡が取れなくなりますから、辞任届はまずもらえません。そして、任期がありませんので、当然、任期満了退任というわけにもいきません。株主総会でAさんの解任決議をするしかなくなります。

当たり前のことですが、この場合、小笠原商事有限会社の登記事項証明書には

「平成○年○月○日 解任」

と、解任で取締役を辞めたことがバッチリ出てきます。

「解任」については、ご依頼者様によって持たれる印象は様々です。解任でも気にしない、とおっしゃる方もいれば、会社内のお家騒動や横領、背任などのイメージをもたれるんじゃないか、と心配される方もいらっしゃいます。

そうならないうちに、まずは会社の登記事項をときどき、確認してみることをお勧めします。

もし、上記のようなことがありましたら、ぜひ、当事務所にご相談くださいませ。

 

 

 

 

 

 


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