成年後見とは

以前、埼玉県で認知症の姉妹が悪徳リフォーム業者に不必要な工事の契約をいくつも結ばされ、多額の借金を負う、というショッキングな事件がありました。

成年後見とは、このように認知症や知的障害、精神障害のため、判断能力が不十分な方々を法律的に支援する制度です。 支援される人を「被後見人」支援する人を「後見人」と言います。 判断能力が不十分な「被後見人」の代わりに「後見人」が契約などの法律行為を行うのです。

成年後見制度は、「被後見人」を守るための制度であると同時に、「被後見人」の財産処分権を奪う制度でもあります。つまり、「後見人」が選任されると、「被後見人」は上記のような悪質な契約から守られることになるのと同時に、「被後見人」本人の財産であっても、自分で売却したり、買ったりすることができなくなるわけです。(ただし、生活に必要な日用品は除かれます)このように、成年後見制度は一人の人間の権利能力を奪う、という難しい側面もありますから、利用するときは、家庭裁判所の綿密な審査を受けることになります。)

「成年後見人」には「被後見人」の親族が選任されることもありますが、親族の中に「後見人」の候補者がいない場合は、弁護士や司法書士などの専門家が選任されます。

また、「被後見人」の所有する財産が多額で、親族が「後見人」として選任された時は、「後見人」を監督する「後見監督人」が選任されることもあります。

また、「成年後見人」に一度選任されると、原則として「被後見人」が亡くなるまで、「後見人」としての職務は続きます。